生意気毒舌年下男子
☆☆☆
夜も遅くなり、幸来は帰って行った。
帰りたくない、と言っていたけど。
暫くしたらきっと、“あの人たち”が帰ってくる。
幸来には、会わせたくない。
誰もいないリビングに立ちつくしていると、ガチャッと扉が開く音がした。
反射で扉の方を見ると、珍しい組み合わせだった。
その組み合わせを最後に見たのは…引っ越す日だったろうか?
「あら、二瑚。
帰っていたのかしら?」
「……」
「うん」
相変わらず化粧も服装もバッチリな父さんと母さん。
愛人に会ってきたのは、一目瞭然だった。
きっと、エントランスでバッタリ会ったっていうことだろうな。
「キョンは帰ったのかしら?」
父さんに聞かず、俺に聞いてくる母さん。
キョンとは、鏡花さんのことだ。
鏡花さんは母さんの学生時代の知り合いだったらしい。
仲は良かったみたいだけど、今はもう、壊れている。