生意気毒舌年下男子







「会ってないよ」

「……そう」



母さんはエプロンを巻き、台所へ向かう。

そして電子レンジをいじり、すぐに目の前にナポリタンを置いた。




「………」

「どうしたのよ二瑚、食べなさい」

「……いただきます」




母さんのことを眺めていたけど。

鏡花さんのように、裁縫針はいれていないみたいだった。

軽くかき混ぜ、安心なことを確認した。

金属音は聞こえない。





「いただきます」




俺はそこで、ようやくナポリタンを口へと運び始めた。

変なものを噛まないよう、ゆっくり租借した。

変な感覚はないから…大丈夫だ。





「そうだわ二瑚、これ」




母さんはテーブルの上に、1万円札を置いた。




「お昼と夜ご飯代よ。
朝ご飯はいらないでしょ?」

「うん」

「アンタのせいで、うちは大変なんだから。
いまだ全部返せていないのよ?」




母さんの言葉に、思わずドキッとした。

幸来を抱きしめた時のドキドキとは違う。






< 95 / 137 >

この作品をシェア

pagetop