生意気毒舌年下男子
彼の秘密、動くあたし、愛しい君
☆幸来side☆
「早乙女くん!」
あたしはエレベーターを下りると、すぐに駆け寄った。
「朝っぱらから元気だなぁ……」
「えへへ♪」
実は昨日、別れるとき、早乙女くんとメアドを交換したんだ。
そして夜、あたしは早乙女くんにメールした。
明日、一緒に行けないかなって……。
我ながら大胆なお誘いだと思う。
早乙女くんからの返事は、オッケー。
だから今日、あたしはいつもより幸せ。
また一緒に通えるということが、こんなにも幸せなことだなんて。
もう彼の毒舌も生意気さも、過去も事情も、関係ない。
あたしは早乙女くんが好きだと、気が付いたから。
だから今日、あたしは久遠先輩に言う。
断る。
久遠先輩とは付き合えませんって、ハッキリ断るつもりだ。
久遠先輩は絶対哀しむだろうけど、あたしは言う。
後悔、したくないから。
後悔しないよう、あたしは自分の気持ちに正直になって言う。
そう決めたんだ。
誰にも揺るがせられない、あたしの決意なんだ。