家族という名の宝物

「同情じゃねーよ。俺もお前と同じ
 立場だし。」

え?

「私と同じ立場…?」

「あぁ、俺も捨てられた子だから。
 お前の気持ち、わかるんだよ。
 って、何ないてんの!?」

え…ホントだ、私、泣いてる…
何でだろう。

いや、理由はわかってた。
皆、お父さんもお母さんもいて
捨てられたこの気持ちなんかわかんない
なんておもってた。
悲劇のヒロインきどりだった。私は。

だけど、私の気持ちをわかってくれてる人がいて、嬉しかったんだ。

「…なんでもない。」

「俺のこと、信頼してくれた?」

「………」

信頼はしない。
いや、できない。

また、裏切られるのが怖いから。

でも、答えられないのは迷っている。

初めてあった人、や、そうじゃないかも
しれないけど、なぜだか、彼を信用
しても、いい気がした。

「まだ、信頼してない…」

私はそうとだけ言うと、その場を
去った。
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