誠の華-アサガオ-
肆
無口な美青年
*
試衛館の庭の木に桃の花が咲き始め、春の訪れを感じる今日この頃。
雪はふでにおつかいを頼まれていた
「おじさん、鱚くださーい」
「おう雪ちゃん、今日も可愛いね。さっき八百屋のおっさんからもらった山椒わけてやるよ!」
「わぁ、ありがとう!」
雪は江戸の商人たちにえらく可愛がられているため、品物をおまけしてもらえることが多い。
ふでが雪におつかいを頼むのはそれが狙いである。