誠の華-アサガオ-




「僕は幼い頃に両親が亡くなった。姉がいたけど生活があまりにも苦しくて、9歳の時に試衛館に預けられた。最初はなかなか剣も上達しないし、知らない人ばかりでつらくて毎日泣いていたよ。でも周助先生や近藤先生、歳さんに源さん達がいてくれたからすぐに立ち直れたんだ」




苦笑しながら過去を話した宗次郎。



雪と平助は長いこと宗次郎と一緒にいたが、試衛館に来る前のことを聞いたのは初めてだった。



そして次は平助が話した。




「俺は津藩主藤堂秉之丞と妾の間に産まれた落胤なんだ。俺の存在が邪魔だったあいつは俺を山南さんがいた道場に捨てた。ゴミみたいに俺を捨てたあいつのことは許せないけど寂しかったことはない。一人ぼっちになったことがないからね」




落胤、って認知されてない子供のことだよね。




「宗次郎や平助がそんな風に生きて来たなんて知らなかったな」



「俺も雪が不思議な力を持っているのは知ってたけど未来から来たなんて知らなかった」




< 124 / 207 >

この作品をシェア

pagetop