誠の華-アサガオ-




その日の夜は宴会が行なわれ、男たちはベロベロに酔っ払っていた。



どんちゃん騒ぎから解放されるべく縁側に向かうと先客がいた。



「おミツさん?」


「あら、雪も抜け出してきたの?」




雪"も"と言うことは、おミツさんも私と一緒のようだ。




「こっちにいらっしゃい」




おミツさんはそう言って私を隣に座らせてくれた。




「雪、あなたにお願いがあるの」




唐突に言われ反応が遅れたが、はいと言うとおミツさんは目を潤ませながら言った。




「私は小さかった宗次郎を守ることができなかった。これからも守ってはいけない。でも私よりも長い間、宗次郎と一緒にいた雪はあの子を守ってあげられる。お願い、雪。宗次郎を……総司を雪が守ってあげて」




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