誠の華-アサガオ-




その日、試衛館はお祭り騒ぎだった。



「初孫だーーーーー!!」



「大きな声を出さないでくださいな。たまが起きてしまうでしょう!」




周助先生を叱るおふでさんだが、おふでさんの口元にも笑みが浮かんでいた。




「凄いね。あんなに小さな赤子の誕生がこんなに家の中を明るくするなんて」



「たまは愛されてるな」




「私達にはちょっと眩しいね」




「……うん」





虐待をされていた雪と捨てられた平助は家族からの愛情を受けたことがない。



そんな二人にはたまの姿が少し眩しく見えていた。




「たまは私達みたいな思いをしないようにたくさんの愛情を注いであげないとね」



「当たり前だろ!!」




そう言って二人でニッと笑った。




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