誠の華-アサガオ-
男が目を覚ましたのは太陽が1番高い位置に昇った頃だった。
「う…。頭痛ぇ……」
「目覚めましたか?」
「あ?…あぁ。ここどこだ?」
周助に男の看病を任された雪はずっと男の側にいた。
「天然理心流試衛館です。お水を持ってくるので少し待っていてください」
雪は井戸へ真っ直ぐ向かうと湯飲みに水を汲み、また男の待つ部屋へと戻っていった。
何で私が知りもしない男を看病しなきゃいけないのよ〜。
お陰で稽古が出来なかったじゃない。
雪の心の中は不満と苛立ちで満たされていた。
スッ
「え?」
先程まで男がいた部屋の襖を開けると男の姿はなく、代わりに男が寝ていた布団が綺麗に片付けられていた。
「まずい。早く探さないと!!」