誠の華-アサガオ-
雪は勝手場、厠、縁側、など思い当たる部屋を全て探したが男の姿はない。
「出て行っちゃったのかな?」
焦りが募る雪は最後に道場へ向かった。
一礼して道場に入ると中には稽古中の門下生たちを唖然として見ている男がいた。
「ここにいたんですね。探したんですよ」
「なあ、俺も稽古して良いか?」
は?
今なんと?
男は私の返事を待たずにズカズカと道場の中に入って行った。
「あ、ちょ!待ってください!!まず周助先生のところに行ってから…」
クルッ
突然何を思ったのか私の元へ戻ってきた男。
「そういえば自己紹介まだだったな。俺は原田左之助」
「あ、近藤雪です」
「お雪、俺をその周助先生って人のとこに連れて行ってくれ!」
まだ体調があまり優れないはずなのに稽古をしたがる彼の姿から根っからの武士なのだなと感心する。
「…わかりました」