誠の華-アサガオ-
「お前ら俺を疑ってるだろ」
不満げな表情で私と宗次郎を見る原田。
そりゃ疑いたくもなるだろう。
あれだけ自由奔放に知りもしない道場をウロウロと彷徨い続けた上に頭も悪そうに見えるこの男。
それが槍と剣術の免許皆伝だ?
信じられない。
「ならこうしよう」
突然何を思いついたのかそう言ってきた原田。
「俺と試合しよう。お雪は今日、俺のせいで剣の稽古が出来なかったんだろう?その詫びも込めてだ!」
私はそんな事を彼に言った覚えはない。
剣を使えることも言っていない。
「分かりました」
「だが!ここは俺の得意な槍で行かせてもらう。いくら稽古だからと言っても試合は全力で取り組むからな!」
私は原田の足元にも及ばない。
原田との会話で雪はそう悟っていた。