誠の華-アサガオ-





「両者構え、始め!!!」



周助の掛け声とともに始まった雪と原田の試合。



どちらも全く動かない。



この男は心を無にしているのか?




違う、そもそも何も考えてないんだ。




先が読めない。




「来ねえのならこっちから行くぜ!!」




突如動き出した原田に続き、一歩遅れて雪も動き出した。




俊敏な動きに加え一撃一撃が宗次郎や平助と比べ物にならないくらい重い。



そして初めて見る槍の動き。



雪にとっては新鮮な試合だった。




しかし男女の差、そして大人と子供の差というものはやはり大きいようで試合はあっという間に終わった。





カランッ




「そこまで!勝者、原田!」




負けてしまうことくらい分かっていた。



分かっていたけどやっぱり悔しい。




< 68 / 207 >

この作品をシェア

pagetop