彼岸の杜
ひょっこりと顔を覗かせてそう聞けばどこか心配そうに顔を曇らせる茜。
うん、あたしここじゃかなりの不穏分子というか、子どもと大差ないもんね。そうなる気持ちはわかる。でもこのままじゃ何も解決しなさそうだし気分転換もしたいんだよね。
「村に?行ってもいいけど大丈夫?清二もいないし…」
「一回付き合ってもらったし平気だよ。髪も隠せばいいし」
村って言ってもそんなに範囲が広いわけでもないもん。迷子にだってならない…はず。
とりあえず渋々ながらも茜からのお許しは出たので頭巾をかぶっていそいそと外に出る。茜は最後まで心配そうにしていたけど茜自身もやることがあるのかしきりに気を付けるように言って中に戻っていった。
うーん、まさか1人で村に行くだけでこんなに心配されるとは。そりゃあたしは危なっかしいかもしれないけど茜と年齢だってそんなに変わらないのになぁ。
前に清二さんと行ったときは結構すんなりと村に行かせてもらえたし、状況が状況なのか清二さんがよっぽど信頼されているのか…うむ、わからん。
そんなことを考えながら清二さん一緒に歩いた道をあたし1人で歩いていく。
もやもやとどこか落ち着かない気持ちはあるものの動いているせいかちょっとだけそれも晴れるような感じがする。運動って大事だよね。