彼岸の杜

女の子は泣きながら、謝ることしかできません。誰に謝っているのかすらわからないけれど謝ることしかできませんでした。


触れあいたいと思ってごめんなさい、話をしたいと思ってごめんなさい、見てほしいと望んでごめんなさい。こんな姿で生まれてきてごめんなさい。


女の子は成長し続け、村はますます困窮していきました。


ある時、まるで箍が外れたように女の子の両親は狂いました。母は泣き叫んだかと思えば魂が抜けたように虚空を見つめたまま動かなくなりました。父は騒ぎ狂い、女の子に向かって刃物を振り回しました。


怖くて怖くて女の子は逃げ出します。行くところなんてないまま裸足のまま家を飛び出します。助けてと叫んでも返ってくるのは静寂ばかり。後ろからさっきの恐ろしい顔で父が追いかけてくるのではないかと震えながら女の子は走り続けました。


村を出て、森に入り、林を駆け抜け、女の子は小さな泉のある場所で倒れました。走り続けている間に辺りは真っ暗になっていて月明かりだけが女の子の周りを照らします。


ここでこのまま自分は死んでしまうのかと女の子は思い、不吉だ、忌み子だと言われた元凶である緋色のその瞳からぽろぽろと涙を流しました。そうしているうちに女の子はそのまま眠ってしまいました。