彼岸の杜



しゅんと肩を落とすあたしに清二さんは弱々しい笑みを浮かべる。見てるこっちの胸が痛くなるような儚く痛々しい微笑みに嫌な予感というものが頭をよぎった。だって清二さんがこんな風になる理由なんてひとつしか考えられない。


そういえば、茜を最後に見たのはいつだっけ…?


答えは今日の朝だ。あたしが起きるときに今日は神社のことでしないといけないことがあるからって先に起きてた茜は出て行ってしまったんだ。


だから朝ごはんも今日は1人で食べた。今まで1人で食べたことなんてなかったのに……絶対茜と一緒だったのに今日は違った。


寝起きだったのと茜のことをどうしたらいいんだろうってそればかりずっと考えてたからこんなにすぐ気づきそうなサインにも気づかないままで、あたし……!


血の気が引くってこういうことを言うんだと初めて体感した。頭の中が真っ白で震えた指先がびっくりするぐらい冷たくなってて。頭は全然働かないのに感情ばかり先走って泣きそうになる。


でも泣いてる場合じゃない…しっかりしろあたし!!


どうすればいい?あたしは何をするべき?考えろ、考えろ…!いつやるの?今でしょ?!熱血先生もそう言ってたでしょうが!!


あたしは今、何がしたいの?




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