彼岸の杜
罰当たりでごめんなさいでも今は非常事態なので云々かんぬんと心の中で土下座をしながらしめ縄を潜って道なりにある小道を蹴る。聖域って聞けば聞こえはいいけど実際は鬱々としていて神々しいとかじゃなくてどちらかというと不気味だ。ほんと罰当たりですんません!
はっはっと乱れたあたしの呼吸音と風が木々を揺らす音、地面を蹴る音、それしか聞こえない。
どれぐらいの距離があるのかはわからないけど茜が神社を出たのは朝早くだったしかなりの長さがあるとみて間違いない。清二さんも間に合うかどうかわからないって言ってたし。
でもさすがにこの距離を全力疾走とかで走ったりして行きはしないはずだ。それならこのまま行けばもしかしたら…!
「っ、女は気合と度胸だああぁ!!」
ただただ必死に茜に追いつかないととそれだけうを考えて足を動かす。足や腕、短い枝葉が顔にぶつかったりするけど時間が惜しいとそれさえも無視して走る。
頬が傷ついてヒリヒリしているのも感じたけど不思議と痛くなかった。痛覚が馬鹿になっているみたいだ。
というかこんなに必死に走ったのなんていつぶりだろう…そりゃ学校の行事で走るときもそれなりに頑張ってたけどこんなに苦しくなるまでには一生懸命じゃなかった。それはここにきて今しがた気づいたんだけど。