彼岸の杜
清二さんはあたしの疑問に答えるように「あぁ、これ」と巾着を出して躊躇いなくその口を開けてしまう。っていいのか清二さん!!そりゃ聞いたのはあたしだけどもそんなあっさり…
あわあわするあたしを見て小さく笑いながらも巾着を逆さにして清二さんはその中身を掌に出した。ころんと転がったのは想像通りの石だったけどただの石じゃない。闇の中に浮かぶその色は、
「緋、色…?」
見間違えようがない茜と同じ瞳の色。あれ、これ、どこかで……
「あーーーっ!!」
「え、なに?」
あたしがいきなり叫んだので驚いたように目を見張る清二さん。いや、さっきからこの夜に騒いで申し訳ない。でもこれが叫ばずにいられようか…否!
だってこれあたしが蔵の中から見つけたやつでこっちの時代というか茜たちのところに来た原因だもん!!
そう思ったと同時に石からありえない光が飛び出す。目が潰れるんじゃないかってぐらいの強い光。当たり前だけど目を開けてなんていられない!てかまたこれか!?
遠くから清二さんに名前を呼ばれた気がしたけどそれに応えることはできずにあたしの意識は見事にぷつりと切れた。