彼岸の杜
「よくここがわかったわね」
「へ?あ、いやなんとなく」
茜を探してたのは本当のことだけど実をいうとあの香りを探すにシフトチェンジしてたからなぁ。うん、茜を見つけられたのはただ単に偶然の賜物だ。
ふと足元に視線を落とすと一面に咲く赤が目に入る。あ、これってもしかして……
「驚いた?」
「うん。すごい数だね。あ!もしかして昨日言ってたのって、」
「そうよ」
ふわりと笑みを浮かべる茜にあたしはなるほどと頷いた。
目の前にある赤の正体、それはここら一体に咲く彼岸花だった。
あたしの神社の周りにもちょくちょく咲いてるし珍しいものじゃないと思う。でもここまでいっぱい咲いてるのを見たのは初めてだ。
全体が鮮やかな赤い色に染められていてちょっと怖いとも思うけど、それを上回るぐらい強く惹きつけられる。
「ここでは冬を除いてその他の季節ではずっと彼岸花が咲いているの。だからみんな『お彼岸神社』って呼んでるわ」
「なるほどねぇ…」