彼岸の杜
現代人のあたしにとってケータイ、ネット、テレビ、本、カードゲーム、その他もろもろの遊び道具は生まれた時から身近にあるもので特に退屈することもなかった。
家だと暇だったらテレビをポチッとすれば何かしらの番組とか音楽とか流れるし、学校でだったら友達とゲームとかおしゃべりとかしてたし。
でもここだとそんなのは当たり前だけどなくて、することといったら茜とお話したりお手伝いしたり……
茜と話すことは楽しいけど、茜にもしなくちゃならないことっていうのがあってずっとそうしてるわけにもいかないし。となると自ずと1人の時間ができるわけで。
「うぅう……暇すぎるぅー」
ごろりとお行儀悪くうつ伏せになって足をばたつかせてみる。まぁ着物だからあんまり派手にできてないんだけど。
しかも人様の家だからね。お世話になっている家だからね。いくらなんでもそんな派手なことはしないわ。
というかこれが家ならじーさまに怒られてるな。「埃が立つから止めい!!」って。あはは、考えなくても想像できる。
まるで脳内にミニサイズのじーさまがいるようだと考えたらちょっと気持ちが悪くなったので考えを放棄。