彼岸の杜
しばらくごろごろと寝っ転がっていると襖を隔てた向こう側から誰かが来る音がする。
あたしの家もそうだけど古い家って廊下とか歩くだけで誰かが来たって分かるからある意味で便利だよね。
そしてこういう家でも足音1つ立てずに歩いていたんであろう忍者という存在にかなり尊敬する。いやマジでどうやって歩いていたのかコツを聞きたいぐらいだよ。
だって屋根裏とか腹這いになって移動したりしてたんでしょ?絶対音鳴ると思うんだけど。
実際あたし小さいときにしたことあるけど一発でバレてじーさまにめっさ怒られた。いやーいい思い出だわ。
とまぁ脳内1人話はここまでにして起き上がり少し着崩れた着物を整える。あれだけ足バタバタしてたんだから着崩れるのは当然だよね、うん。
茜かな、と思いながら座っていると現れたのは清二さんだった。お、起きててよかった……!
「こんにちは、朱里さん」
「こ、こんにちは」
ニッコリと笑う清二さんの姿に一発KOなあたし。ちょろいなんて言われても気にしないわ。だってほんとのことだもの。
にしてもいつ見てもイケメンはかっこいいよねぇ。いやー、飽きないわ。眼福。