彼岸の杜
ちょっとだけ目をハートにさせながら眺めていると清二さんがあたしの前に座って「茜は?」と口を開く。
「えっと、茜はちょっとやることがあるからって、」
神社の方にいると思うんですけど、と言うと予想していたみたいで困ったように微笑んで息を吐いた。
あぁ、その困り顔ごっつぁんです、とか考えてるあたしはかなり変態だと思う。だって清二さんイケメンなんだもん!イケメンはどんな表情してても需要あるものなのだよ。
「茜に何か用事があったんですか?」
「いや、用事というものでもないよ。何してるのかなって程度だから」
気にしないでと言う清二さんにあたしも「そうですか」と返して座り直す。うん、痺れそうだったもので。
「朱里さんは何してたの?」
「へ?あー、あはは…」
暇だよーと言って足を駄々っ子のようにばたつかせていましたなんて言えるだろうか…否!言えるわけがない!しかもその相手がイケメンなら尚更!
曖昧に笑ってごまかしていると清二さんは違う意味にとったのか困ったように苦笑する。
「確かに、未来と比べるとこの村はすることがなくて退屈だろうね」
「あー……」
否定できない。というか肯定しかできない。あたし素直な日本人だもん。