彼岸の杜
へらりとまたしても笑顔でごまかすと少し考えるように顎に手を添えていた清二さんが立ち上がる。
「ここにいてもすることがないし、よかったら村を案内するよ」
「えっ、いいんですか?」
「うん。と言っても珍しいものもないんだけどね」
期待しないで、と言う清二さんだけどここにいるよりはるかに楽しそうなことにちょっとだけワクワクする。
だってリアルな昔の村の様子を見られるんだよ?現代人のあたしからしたら興奮材料しかない提案でしょうよ。
神社とかは現代とあんま変わらない感じだったから昔って感じしなかったし。一度近くで村の家がどんなのか見てみたかったんだよね。あぁいうの茅ぶき小屋って言うんだっけ?
行きます!とあからさまに瞳を輝かせるあたしにクスリと笑みをこぼした清二さんは「じゃあ行こうか」と襖を開けた。
一応茜に知らせて行こうという清二さんの言葉に頷きつつ神社の方に向かう。ちょうど境内の掃除でもしていたのか外にいた茜に声をかけるとふわりと柔らかく微笑んでくれた。
「来ていたのね」
「うん、ついさっき」
「ふふ、それでどうしたの?」