彼岸の杜
本音を言うとあんまり被りたくないなぁと遠慮したいところではあったもののここはあたしのいた日本じゃないし。
この頭巾を被ったところで笑うような人もいないだろうし……まぁいっか!それにリアルな村見たいもん!
ふっ、人間最終的には自分の恥よりも好奇心に従って素直に行動する生き物なんだよ。あ、なんかちょっと格言っぽい。
そんなことを考えながらいそいそと頭巾を被る。うーん、ちょっと髪の毛はみ出ちゃうかな?チラ見でもこれは目立つよね。
仕方なく頭巾を一度外してから持っていたゴムでお団子を作って再び頭巾を装着。うん、これならバッチリでしょ!!
茜と清二さんにも確認してもらいOKが出たのでいざ村に出陣!草履は使ってないのを茜に貸してもらった。さすがに靴は履けないからね。
茜に見送られて清二さんの後にくっ付きながら村へと降りる。おぉ、なんかちょっとワクワクっていうかドキドキするなぁ。気分的には遠足前の小学生だ。(幼稚なことは自覚してます)
「とりあえずぐるっと見て回ってみる?と言っても面白いものは何もないと思うけど」
「いえいえ、あたしからしたらこうやって見て回るだけでもすっごい楽しいですから!」
案内お願いします、と頭を下げると清二さんは「それならいいんだ」と穏やかな笑みを浮かべた。イケメンの超絶笑顔……ごっつぁんです!!