彼岸の杜
いやあたし男じゃないしその予定もないから想像の上でしかないけどね。多分世のラブラブなりたてほやほやの新婚さんの夫はこうやって笑顔で迎えてくれた妻にこういう気持ちを持つんじゃないだろうか。
つまりは、めっちゃ癒される。もうほんと癒される。神!天使!茜まじかわいい!!
あたしも将来的には愛する夫を迎える立場にと考えて果たしてその人があたしみたいにあたしのことを天使だとか思うのかと考えて撃沈した。結果は聞いてくれるな。
「清二、朱里のことありがとう」
「どういたしまして。僕も楽しかったよ」
よかった、と笑みを浮かべる茜とそれに微笑む清二さん。やっぱりこの2人の間に流れる空気って好きだな。相思相愛って感じでほんわりする。
「そうだ、朱里さんごめん。ちょっと話があるから少し2人だけにしてもらってもいいかな?」
「あ、はい」
わかりましたと頷いて草履を脱ぐ。ついでに今の今まで被っていた頭巾を頭から脱いだ。ふー、すっきりすっきり。
話がどのぐらいあるのかはわからないけど、とりあえずいつもの部屋にいればいいかなぁと廊下を歩く。
なんとなく気になって振り返ってみると清二さんの真剣な顔が見えて足が止まる。それに対して茜の顔は穏やかだったので後ろ髪を引かれながらも2人から目を離した。