彼岸の杜
その様子を見てしまうとあたしの杞憂だったかなぁと思いつつやっぱり気になるので聞いてみると、茜はキョトンとしてから柔らかな笑みを浮かべた。
「心配してくれてるの?ありがとう。朱里は優しいわね」
ふふ、と嬉しそうに笑う茜はすんごく綺麗だ。見慣れたと思ってたけど見惚れちゃったよ。ドキドキしちゃいましたよ。あたしが男なら放っておけないわ。
それぐらい茜の笑顔は本当に嬉しそうで可愛らしかった。こういうとこ見ると1個上なだけなんだなって感じる。
「そうね、確かにちょっと寂しいかも。でも今は朱里がいるもの。それに…清二ならきっとあのときみたいに私を見つけてくれるから」
「あのときって…もしかして清二さんが茜を見つけたときのこと?」
「あら、清二が話したの?」
驚く茜にあたしは頷く。それで今日あの彼岸花に囲まれた泉に連れてってもらったことを茜に伝えた。
そこで茜と清二さんが出会ったということとだから特別な場所なんだって教えてもらったこと。あと清二さんがあげたっていう茜の名前のことも。
「あらあら。清二、そこまで話したのね」
「うん、って言っても本当にそれだけでどんな会話したとかは知らないからね?名前についても茜との秘密だって言って何も言わなかったし」
おかげでこちとら不完全燃焼ですよ。気になって仕方ありませんわ。