彼岸の杜
あははと乾いた笑みをこぼすととキョトンとしてた茜になんでもないととりあえず首を振っておく。
いいよ、紗季ちゃんには言わないもんね。笑われるってわかっててわざわざ玉砕するようなことしないもんね。だってあたしMじゃないもん!
ふっふっふ、と1人怪しく笑うあたしを茜はますます不思議そうに首を傾げながら見つめていた。後で気づいて赤面したよね。
そそくさと恥ずかしさをごまかしてもぐもぐごはんを食べるのを茜は面白そうにクスクスと笑っていた。
ごはんを食べたあとは軽く片付けを手伝って茜のお言葉に甘えてお風呂というより湯浴みと言った方がいいような簡素なお湯を頂き、部屋に戻る。
入れ替わりで茜をお風呂に行ってしまい、ポツンと1人で部屋でおとなしくしていた。というか居候のくせに先にお風呂頂いてしまって申し訳ない。
でも遠慮しても茜優しいからなぁ。あたしが先じゃないと入らないっていうか、お客さまにそんなことできないって言うんだもん。お客さまじゃなくて居候なんだと声高に言っても聞かないし。
茜って意外と自分の意思を変えないというか…頑固?うん、言葉にするとそんな感じかも。特に自分で決めたことになると。
クスリと1人笑みをこぼして茜が来たら隣に布団を並べて一緒に寝る。こんな穏やかな日々がずっと続くといいなと思いながらあたしは今日もぐっすりと眠った。