彼岸の杜
「い、行くのはやめておこうかな…」
「そうした方がいいわね」
少なからず怯えるあたしに茜は小さく笑うだけで、しかもその様子が面白かったのか知らないけど長い間笑っていたものだから最終的にはあたしはごはんのときもむっすりとしていた。
いやだってどっちかと言うと脅した?のは茜の方なのに!それを笑うとか酷いでしょうが!?あたしがむくれるのも仕方ないと思うんだよね!!
でもどこか遠慮のないそれになんとなく茜との距離が近くなったようで、本当に、ほんっとーに少しだけ嬉しかった。(決してドMではありませんので悪しからず!ここ重要!)
この日は清二さんもいないしすることもなく、せっかくだからと茜と一緒になってお喋りしながら境内や敷地内の掃除をした。
あたしもここで一応お世話になってるからね、このぐらいはしないと申し訳ないってもんだよ。茜がしてる本格的なお祈りとかは無理だし。
一度茜に誘われてちょっと覗いたことあるけど……うん、あたしにはあそこまでの集中力はない。あれの十分の一でもあったらもう少しまともに勉強できてたと思うよ。という感想が出てくるようなものだった。
なのでおとなしく掃除をしていたあたし健気。久しぶりに体を盛大に動かしたせいか気分までスッキリしたような気がして、掃除の威力ってすごいんだなぁと思いながら布巾で廊下を拭いていた。