彼岸の杜



「今、ちょっと村の人が来ていて…朱里が見つかっちゃうといろいろ大変だろうし」


「え、村の人来てるの?」



さっきの気配ってじゃあ清二さんじゃなかったんだ。というか清二さんなら隠れる必要ないか。


確かにあたしが見つかっちゃうとこの髪のこととか言い訳できないもんね。未来から来ましたとか言っても信じてもらえないどころか頭おかしい子認定されそうだし。


ここなら村の人も来ないだろうからとあたしには茜が呼びに来るまでここでおとなしくしておいてほしいらしい。


うん、茜に迷惑はかけられないもん。このぐらいなら全然平気でしょうよ。音にさえ気をつければここも掃除できそうだしね。



「わかったよ。ここにいるね」


「ありがとう、ごめんなさいね」


「元はと言えばあたしのためにでしょ?気にしないで」



それより早く行かないと怪しまれるんじゃないかと言えば申し訳なさそうにしながらも慌てて戻る茜に思わず吹き出してしまった。


茜もあぁやって慌てたりすることがあるんだ。いつも大人の余裕ってかんじなんだもん。あぁいう姿見ると年が近いんだって実感するな。



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