彼岸の杜



ひそひそと聞こえたのは3人の声で、みんな男の人らしい。多分声からしてお父さんからじーさまぐらいの年齢だと思う。


にしても全くと言っていいほどに話の内容がわからん。でも茜に何か村の人にはさせたくないことをさせようとしてるって感じなのかな。


くそ、朱里ちゃんにもわかるように言ってくれないかなおじさんたち…!もやもやして気になっちゃうじゃないか!



「いつにする?」


「早い方がいいだろう。村はもう限界だ」


「そうだな…じゃあ、」



結局聞き取れたのはそこまでであとはボソボソと遠ざかっていく声しか聞こえず、話の大半は全く以ってわからなかった。


とりあえず、茜に何かさせようとしてるってことだけははっきりしてるよね。その何かがわからないんだけど。村の人が嫌がる、もしくは気がひけることってなんだろ。


首を傾げて考えてみるものの学力の低いあたしが思いつくはずもなく。村のことでさえ清二さんや茜に聞いたことしか知らないもん。これでわかった方が逆にすごい。


もういいよと顔を出してくれた茜にもなんの話をしていたのか聞いてみたけど、茜は困ったように笑うだけであたしには何一つ教えてはくれなかった。


朱里が気にすることじゃないわ、と言われても気になるものは気になるのに……


むぅ、としながらも茜が言いたくないことならそれ以上聞くこともできなくてもやもやしたままあたしはいつものようにごはんを食べて眠りについた。



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