いつだって、ヒーロー。


浴衣…。

俺でさえ見たことなかった浴衣姿。
街灯に照らされて暗くてもハッキリと目に飛び込んでくる。


「大丈夫か⁉︎」


と、あたかもそれどころじゃないように装った。


ううん、本当は悔しいんだよ。

淡い紫色の浴衣が余りにも似合っていて。
それを始めて見たのが、隣で歩いていたのがそこに寝転んでる最低な男だなんて。


違うだろ、いずが泣いてんだ。
目の前で恐怖で涙を流してるだろ?


そう思うのに俺の頭に思い浮かぶのは伊藤朝陽と笑い合ういずの顔。


俺、ダメダメだな…。


なんて考えてると、伊藤朝陽が立ち上がって俺の頬を殴った。
腕につけてあるアクセサリーが当たって口からは血が出る。


もう、痛いも何もない。


いずの腕を掴んでしばらく歩いた。




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