いつだって、ヒーロー。
「私が…バカだから…宮城くんっ…口から血出て…ごめんっ…なさい…」
そう後ろで泣く。
違うんだよ。
俺が振り返らないのは、お前の浴衣姿を見たくないから。
すごく似合ってるのに、可愛いのに、どうしても目に入れたくない。
俺は嫉妬しにここに来たんじゃない。
俺はお前を助けに…。
そんなとき、タイミング悪く田渕が来た。
怪我した俺の口をそっと触る。
俺の怪我なんてどうでもいいんだよ。
突然掴んでいた細い腕がすり抜けてカランという下駄の音が聞こえた。
振り返るといずの背中。
「もう…いいじゃん…。何があったのか知らないけど、泉ちゃんは今、宮城くんから逃げたじゃん」
俺の腕を掴んでいずのところに行かせようとしない。
俺、コイツにヒドイことしてんのわかってる。
「…ごめん、俺、けりつけたい」