いつだって、ヒーロー。


助けなくていいって言われても、もし何かあったら絶対にほっとけない。


「やっぱり、いずなんだ…」


「やめて!もう…やめてよ!そんなに…泉ちゃんの名前ばっかり…!」


頭を抱えて叫ぶ田渕は、何かが切れてしまったみたいにボロボロと涙を流す。


「わかってた…。いつかはこんな日が来るって…。だって青…、私のこと七瀬って一度も呼んでくれないもん…。手も繋いでくれないもん…。キスも…してくれないもん…。

好きって……言われたことないもん…。

私がいても泉ちゃんのことで浜野くんと喧嘩して…泉ちゃんばっかなんだもん…」


「ごめん。だからこそお前のそばにはもういてやれない」


俺がしてることって、きっと田渕にとって最低だ。

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