いつだって、ヒーロー。


だから綺麗に終わろうなんて思わない。

ただ、きっちり終わらせたい。


「もう…いいよ。ううん、初めからわかってた。私のことは好きにならないって。でも、それでも好きだから…一緒にいてほしかったの…。

青は…もう…自分の恋をしてね…?
ありがと…。4ヶ月楽しかったよ…」


別れを告げられることがどれだけ寂しくてつらいか。

俺には痛いほどわかる。


涙を流しながら笑う田渕はきっとつよい人だ。


ううん、本当は弱い。

強がってるだけだと思う。


「じゃあね…青。これからはクラスメイトとして…よろしくね…?
青の気持ち……伝わるといいね」


俺の前に立ってさっきよりも笑う。

俺はきっとそれに応えなきゃならない。


「うん、よろしくな。あと…」


これはきっと伝えるべきなんだと思う。

たとえ好きになれなかったとしても

4ヶ月一緒に過ごして、笑ったのは本当だからな。




「ありがとう、楽しかったぞ」




寒い空の下で、いいえ!と言う田渕を
幸せにしてやる人が現れるといい。





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