いつだって、ヒーロー。
ープルルルルッ
突然、ケータイの着信音が鳴り響いた。
起き上がり、机の上に置いてあるケータイをとって電話に出る。
「も、もしもしっ!」
『……俺』
トクン、と鼓動の音が明るくなる。
ケータイを持つ手が少しだけ震える。
少し眠くなっていた私の脳は飛び跳ねるように目を覚ます。
俺、とだけ言ったその声はいつも聞くよりも少しだけ低い。
私が、触れたくて仕方ない人。
『………青』
耳から離して画面を確認すると『宮城 青』の名前。
確認せずに電話に出たから気づかなかったんだ。
電話番号…変えてなかったんだ…。
ちゃんと登録されてる番号から、懐かしい電話越しの声。
「ど…して…」
聞こえるきみの声は奇跡みたいで、私の胸をきゅーっと締め付ける。
『今から外出れる?』
「え……」
もしかして…
電話越しにビューっと風の音が聞こえる。
窓を見ると、雪が風に乗って運ばれていく。
立ち上がって窓を開けて下を見る。