いつだって、ヒーロー。





ウソ………でしょ…?






『…会いたい』







どうして?

鼻の奥がツンとする。


私が助けてほしいと願ったときに助けてくれて


会いたいと思ったときに現れる…。


パッと顔を上げる宮城くんと、目が合う。


私の視線の先には、自転車にまたがった宮城くんが私を見上げる。


暗いのに、優しい笑顔が焼きつく。


泣きそうなくらいその笑顔は眩しい。



「……うん」


電話を切ってすぐに着替える。


少しでも可愛いって思ってほしい。

白の生地にお花柄のワンピースに上にコートを着る。


急いでお化粧をして、全身鏡でチェック。


うん……大丈夫。

チークのせい?
少しだけほっぺたが赤く見える。

緊張する…。


「お母さん!お父さん!私、出かけてくる!」


「ええっ、こんな時間にどうしたの?」


走ってリビングへと駆け下りると、目を丸くするお母さんとお父さん。


時間は8時40分。

外は真っ暗で、街灯のあたるところだけが明るくなっている時間。


「あの…会いたい人がいるの!」


それだけ言ってリビングのドアに手を掛ける。

こんな時間から外に出るなんて、あまりない。


でも、会いたいんだ。




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