いつだって、ヒーロー。


「じ…じゃあ、使うね」


頷いて自転車をゆっくりと漕ぎ出す。


さあっと風が吹いて、宮城くんの匂いが鼻を突く。


この匂いでさえ、懐かしい。


たった2ヶ月だったのに、あれから1年も経ってるのにこんなにも覚えてるなんて私、変だね…。



言葉を交わすことなく、自転車は動いて行く。


お話はしないこんな時も居心地がいい。



目をつぶって、コツンと頭を背中に寄せる。





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