いつだって、ヒーロー。


「な、ここ曲がったら着くから!」


楽しそうに指差す。
宮城くんが言うには、目の前の道を左に曲がると目的地に着くんだって。


どんなところだろう。

ワクワクする!


「せーの」


「………わあ!」


目の前に広がる無数の光。


赤や青や黄色、たくさんの色が一本の大きな木を綺麗に彩る。


どこからか、クリスマスソングが聴こえてくる。

周りのカップルも家族連れも、それに見とれていた。


「綺麗…」


見たことない輝かしい景色。
ありきたりな言葉しか出てこないけど、それがピッタリ。


「ここ、クリスマスになるとこんなに綺麗になるんだ」


白い息を吐きながら宮城くんもツリーを見上げる。

小さく微笑む横顔があの頃の横顔と何も変わっていない。


「去年…連れてきてやりたかったな…」


やっぱ寒いな〜、と話を変えてしまったけど、私の頭の中はその前の言葉でいっぱいになっていた。


そんなことサラッと言っちゃダメだよ…。

悔しそうに言うから、本当にそう思ってくれてるんだって…嬉しくなっちゃうじゃん…。


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