いつだって、ヒーロー。
カバンの中を漁り、下を向いてゴソゴソと何かをする。
…え、え、ええっ?
「いい子にしてるきみへ、サンタさんからのクリスマスプレゼントです!」
振り向いた宮城くんの顔には、白いモコモコのヒゲと、赤いニット帽。
その姿はまるでサンタさん。
「おっと、姿を見られてしまった。それではまた来年!」
モコモコのヒゲと赤いニット帽の間から見える目は、ぱちっと開いていた。
自転車のスタンドを勢い良くあげ、サンタさんは振り返ることもなく自転車をこぐ。
その後ろ姿をただ見つめながら手に握る物を胸に当てる。
「……あっ!………ありがとうっ‼︎‼︎」
小さくなった姿に向かってそう叫ぶ。
聞こえたかな…。
宮城くんは暗闇に消えていった。
しばらく宮城くんが消えて行った道を眺めて、お家の中に入った。
キンキンな外の冷たい空気とは違って、ポカポカしてる。
どちらかというと、コートを着てる私には少し暑いくらい。
「おかえり…泉?」
何も言わずにリビングを通り抜けて部屋へと上がっていく私に、不思議そうにお母さんが問いかける。
そんなのもまともに耳に入らないまま部屋のドアをガチャリとしめた。