いつだって、ヒーロー。


テーブルにある飲みかけの炭酸ジュースの入ったペットボトルを手に取る。


「…もし他の奴にされてた、って言ったらどうする?」


思わず手が止まる。


しん…と部屋に沈黙が流れる。

ゆっくりと顔を向けると秋と目が合う。


どれくらい経ったんだ?


何秒か?


それとも何分か?


「……そいつのこと許さねえよ?」


嫌な予感がする。


「それが俺だったら?」


「……………伊藤朝陽と同じようにしてやるよ?」




これで人を殴ったのは2回目だ。



あの時よりも力強く。



吹っ飛んだ秋はガシャンとテーブルにぶつかる。

すかさず倒れた秋にまたがって胸ぐらを掴む。


「…言えよ。なんでそんなことしたんだよ。言えよ!!」


自分が壊れた瞬間だった。


人を殴るなんてしたくない。


だけど我慢なんてできねえよ。


目の前で俺の大事な人を奪った奴がいる。


いずを傷つけた奴がいる。

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