いつだって、ヒーロー。
俺は…伊藤朝陽なんかよりも前に…コイツから守らなきゃいけなかったんだ。
「……早く言えよ。いつ…だよ…」
「…………お前が永倉と付き合ってる時」
それからゆっくりと話しだした。
俺の知らなかったこと、全部。
あの日のことはよく覚えてる。
『青くん!先生に呼ばれたから放課後行ってくるね!すぐ終わらせるから待ってて!』
そう言われて放課後、校門でいずを待っていた。
葉が舞い落ちる季節、どうせまた告られてんだろうななんて思いながら。
『告白だったみたい!』
そういつものように言ってくると思って、次はなんて言ってやろうか考えてるとケータイが鳴ったんだ。
ついでに仕事を任されたから先に帰っててほしいってメールがいずからきたんだ。
…嘘じゃなかったのか。
そう思って、わかったと返信をした。
また明日、笑顔が見れると思ってたから。
あの時、俺が気づいてやらなきゃならなかったんだ。
いずの嘘に。
隠し事に。
次の日、目がはれていてマスクをしていた。
風邪気味だと言う嘘にも気付いてやれなかった。
マスクの中の唇を他の誰かに奪われたなんて、考えもしなかった。
気付いてやれなかった。
アイツのたくさんの嘘に。
俺があの日帰らなかったら、アイツの涙に気付いてあげられたんだ。
お前の泣き顔を救ってやれたんだ。
『別れよう』
なんて選択肢を選ばないで済んだんだ。