いつだって、ヒーロー。












今日だけ、こんな俺を許してほしい。



「うっ……わぁぁぁぁぁぁ!!!」



言葉にならない気持ちと共に、俺の腕は動く。


何度も何度も、秋の顔に。


悔しくてたまらないんだ。


何もできなかった俺と、俺から大事なものを簡単に奪った秋に。


伊藤朝陽のこと知らせてくれたよな?

お前が言ってくれたから、何もされなくて済んだのに。


俺がいずを守れたのに。


ううん、違う。


秋がいずにキスさえしなければ、今でもいずは俺の隣にいたんだ。


そしたらあんな奴に手を出されることもなかったんだ。


お前が、お前が告白だけで済んでいれば


こんなことになっていなかったんだ。



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