いつだって、ヒーロー。



それから紫音が秋を連れて部屋から出て行き俺は1人部屋に残った。


リビングで手当てでもしてんだろうか。


いきさつを聞いてんだろうか。

ようやく感情がおさまりベッドに寝転ぶ。


手を握り天井に向かってかかげると、あの鈍い音と秋の顔が思い浮かぶ。


「俺…殴ったのか…」


紫音とは何度もケンカしたことはある。
けど、絶対に殴ったりはしなかった。

力の差があったからかなわなかったっていうのもあったけど、単純に人を殴るなんてできなかったのに。


2人も殴ってんじゃん。



でも、止まらないんだ。


感情のままに勝手に動く。


大切な人を失って、それがずっと仲良くしてきた奴がきっかけなんて。


そんなことあるか?


お前、背中押してくれただろ?

それは何だったんだよ。


俺といずを引き裂いたのはお前なのに、何でそんなことすんだよ。


お前の考えが、気持ちが、わかんねえよ。


「秋……お前いったい誰なんだよ…」


俺の知らない秋がいる。


まだ触れてないアイツの奥底。

どんな気持ちでお前はいずに気持ちを伝えた?


どんな気持ちでいずにキスをした…?


俺でさえ緊張したのに。

何回目だとしても慣れなかったのに。




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