いつだって、ヒーロー。
「よし、行ってくる」
「…やっとか〜。なーんか、長かったな」
両手を頭の後ろにまわして、椅子の後ろに重心をかける爽太。
やれやれとでも言うかのように、一つため息をついた。
俺は今日、長い片想いを終わらせる。
この1年で何ができたかっていうと、何もできてねえと思う。
だけど、もう想うだけなんて無理だ。
早く伝えたい。
そんで、お前からの言葉が聞きたい。
大丈夫、クリスマスのあの日にいずの気持ちがわかったから。
でも、ちゃんといずから聞きたい。
「爽太…いろいろサンキューな」
きっとコイツには1番世話になった。
去年の3学期の終業式前のお前の言葉も、体育会からのあの態度も、
コイツなりの優しさだった。
爽太がいなければ、俺の想いは一方通行のままだったと思う。
「…ほんと、俺のおかげだって。ほら、行ってこい!」
べし!と背中を叩かれてバランスを崩す。
振り返るとそこには微笑む爽太がいた。
バカっぽいような頼りになるような笑顔。
ムカつく野郎だけど、やっぱりコイツが1番の友達だ。
「おう」
2人しかいない教室を後にして俺はB組へと向かう。