いつだって、ヒーロー。


爽太は掃除をサボってE組に来て、いずは掃除当番だから教室にいるって教えに来てくれた。


きっとまだ掃除をしてるに違いない。


窓の外は風が吹いていて、校舎内にいても寒さを感じる。



あの場所に行こう。



「永倉!」


教室のドアから名前を呼ぶと、もともと大きな目をもっと大きくして俺を見る。

床をはいていた手がピタッと止まる。


そんな反応、全部想定内だよ。


「ちょっと来い」


今から来れる?なんて聞くと、きっと
掃除だから後でもいい?って言われるのは目に見えてる。


無理やり腕を引っ張っていずのカバンを手に取り歩き出す。


「あっ……あの!宮城くん!そ、そのっ…掃除がっ…!」


ほらやっぱり。


「…いーから、ついて来て」


カバンを胸に押し付けて、もう一度歩き出す。

その後ろを小さな歩幅でついてくる。


たどり着いたのは……校舎裏。



俺たちの原点。



初めて言葉を交わした場所。


気持ちを伝えた場所。



助けなくていいと言われた場所。


やっぱりここだよな?



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