いつだって、ヒーロー。
「1年前。お前が俺にキスしたろ?あれってさ…『さよなら』とかいう意味だろ?…だったらさ、『これからずっとよろしく』って意味で」
「あ……」
覚えてる。
初めての私からのキス。
悲しかったけど少しドキドキした。
『さよなら』って『今までありがとう』って気持ちを込めたキスだった。
もう絶対に隣にいることはないんだって思ってた。
でも…今こうして想いが通じた。
『これからずっとよろしく』かあ…。
「あの…め、目…つぶってほしいです…」
「……うん」
私からも気持ちを伝えたい。
『さよなら』じゃなくて『別れよう』じゃない。
今の私に必要な、大切な気持ち。
そっと目をつぶって私からのキスを待つ。
1年前みたいに背伸びをする。
学ランから覗いているカッターシャツを引っ張る。
ああ、私はどんなときでもこんな日をきっと待ち望んでいたんだ。
好きじゃないと思い込んでいたときも、田渕さんとの恋を応援したときも、心のどこかではこんな瞬間を夢見ていたんだ。
懐かしい感触。
大好きな人の唇はぬくもりを感じる。
誰のものでもない、あなたの唇。
大丈夫、絶対にもうこの気持ちを隠したりしない。
「好きです…。大好きです、青くんっ…。これからずっとよろしくねっ…」
止まっていた涙がまたほっぺを伝う。
「うん。俺もいずが好き」