いつだって、ヒーロー。



「どどど、どうしようっ…」


今日は付き合い始めてから、初めてのデート。



もう一度付き合うことになったとお母さんとお父さんにお話ししたときは、すっごく喜んでくれた。


その日の夜ご飯は少し豪華だったり。



真緒ちゃんなんて、泣いて喜んでくれた。


真緒ちゃんはずっと、背中を押してくれたね。


私に足りないものを教えてくれて、いつも支えてくれた。


真緒ちゃんがいなかったら、きっとこの気持ちに気づけなかったし伝えられなかったよ。


私の周りにはたくさんの人がいた。



いろんな人にありがとうって言わなきゃね。



真緒ちゃんにも、浜野くんにも、つーちゃんにも、湊にも。



ープルルルルッ


『……今どこ』


「わっ……わかんないっ…!」


そして私はさっそく迷子。


電話越しの声は、少し低い。

探しまわって疲れちゃったのかな…?


初めて来た場所に戸惑って歩いていると、よくわからなくなっちゃった。


気づけば待ち合わせ時間をとっくに過ぎちゃってて…。


そしたら電話がかかってきた。


『何か見えない?』


「えと…あ!時計!時計が見えるよっ!」


目の前には丸い時計。

だけど…だいぶ歩き回っちゃったからここわかるかな…?


『…待ってて。俺がそっち行くから。一歩も動くな』


そう言ってブチっと電話は切れた。

指示通りにおとなしく待機。


ごめんね、青くん。


大丈夫かな。わかるかな。




「いずっ!!!」



どこからか私を呼ぶ声が聞こえる。

あたりを見渡すと、青くんの姿。



また、助けに来てくれたんだ。



こんなダメダメな私をいっつも助けてくれる。




人の目も気にせず、走りながら私に手を振るあなたは






「青くんっ!」






いつだって、ヒーロー。

























*end*
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