いつだって、ヒーロー。
終業式が始まって、校長先生の長い長いお話も終わり無事に1年生を終えることができた。
明日は受験の日っていうのもあって、どこの部活も休み。
お昼までだし、真緒ちゃんと遊ぼうかな?って思ったけど、真緒ちゃんは1つ上の彼氏との予定があるんだって。
いいなあ、もうすぐで1年だっけ?
真緒ちゃんから聞くノロケ話は羨ましいほど仲良しで可愛いカップル。
そりゃあ昼までだし彼氏と遊ぶよねえ。
混雑していた下駄箱を眺めながら、はあ…とため息をつく。
人がいなくなってから自分の靴があるところへ向かった。
あ、上靴持って帰らなきゃ…。
お家で洗ってまた春休み明けに持ってこないと。
カバンの中に入れた靴袋を漁ってると誰かが横に来た。
青くんだ…。
もしかしたら青くもひとが少なくなるのを待ってたのかな?
2人ってなんだか気まずいな…。
早く行こう。
靴袋を取り出してそこに上靴を入れて下駄箱からローファーを取って地面に置く。
「バイバイ」
「え?」
上から降りかかってきた声。
その声の持ち主なんてすぐわかる。
振り返ると私を見てる青くん。
え…。
今の私に言ったんじゃないよね?
友だちが通り過ぎたのかなあ…。
たまたま見てただけだよね?
だけど久しぶりに目が合った。
それがただの偶然でも嬉しい。
何も言わない私をしばらく見て、
はあ…とため息をつくと靴を履いて歩いて行く。
やっぱりたまたま見てただけだよね…。
友だちが通ったから言っただけだよね。
そう思いながら青くんの背中を見ていた。