いつだって、ヒーロー。



そうだ。
もう隣り合うことはないんだっけ。

クラスが離れて下駄箱で隣り合うことはなくなった私と青くん。

通学路はいつものように5mくらい前を歩くけど、下駄箱ではそれぞれの場所へ。


当たり前だけど少し寂しいな……なんて。

いやいや!!!
そんなことばっか考えてちゃダメ!

ブンブンと頭を振って教室へ向かった。


「泉おはよ〜」


「おはよ」


2年生になって一週間。
無事に友だちができて、それなりにクラスに打ち解けた。

隣の席の戸賀 翼(とが つばさ)ちゃん。

ほんとに安心。
1年間友だちができないかもって思ってたくらいだもん。


「つーちゃん、お菓子いる?」


「いるっ!!」


どーぞ!
って渡したのはもちろん私の大好きな


「センベイ⁉︎」


目をまん丸にして驚くつーちゃん。


「うん?そうだよ」


どこからどう見ても醤油センベイ。
つーちゃんはゲラゲラと笑いだす。


ええええぇぇぇっ!


「やばいっ。ちょっ…泉…何それ!ギャップが…!!」


ひーって目に涙を浮かべる。
そっ…そんなに??


「出た永倉のセンベイ。1年の時から持ってきてたよな〜。もーらいっ」


教室に入ってきた浜野くんが袋に手を伸ばす。

私の長年愛してきた醤油センベイ。
これ、家の近くのお店でしか売ってないんだよ?
レアだよ?超がつくほどね。


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