いつだって、ヒーロー。
「こーれ!これちょうだい!」
元気な男子がお菓子を指差す。
「50円です」
お金を受け取ってお菓子を渡す。
さっきから思ってたけど…
「つーちゃん、大盛況だね!」
けっこう人集りもできてるし、いい感じかもっ!
どんどんお菓子も飲み物も売れてる。
「いらっしゃいませ〜!」
自然と大きい声も出ちゃうくらい。
「わ、きみ可愛いね!」
突然男の人2人が話しかけてきた。
んー…と、チラッと上靴の色を見ると3年生の色。
「あ…えと…」
「午後から一緒にまわらない?」
えっ!!
こ、こんな、知らない人とっ…!!
私の頭の中はぐちゃぐちゃ。
こんなこと言われたの初めてだし、年上だしなんて言えばいいの…⁉︎
「この子、うちの看板娘なんですよー!可愛いですよね?でも渡せないですよ〜」
そう元気に言ったのは隣にいるつーちゃんだった。
「いーじゃん?午後からはどうせ暇だろ?貸してよ、この子」
「この子もうまわる人いるんですよ!モテモテなんでね!羨ましいです」
「なーんだ。残念。じゃあこれとこれだけど買うよ」
先輩たちはチョコとグミを手にとって、つーちゃんにお金を渡すとサッサと消えて行った。
「つーちゃん…ありがと…」
「なーんてことないよ!泉は可愛いんだから注意しときなよ?」
パアッと笑顔なつーちゃん。
私、可愛くないよ?
でも、ありがとうね。
「永倉相変わらずモテてんな〜」
財布をクルクル回しながら来たのは浜野くん。
そういえば浜野くんはお昼からここの店番だっけ。
「違うもん…。モテてなんかないもん」
「鈍感かよ。1年の時から思ってたけど鈍いよな〜」
「にっ…!」
鈍いって何よ〜っ!
私鈍くない!
「ま、そこがいいのかもな〜。…あいつも。店員さん、これちょーだい」
財布を持つ手と反対の手で売り物の炭酸ジュースをクルクルっと回す。
「150円だよ」
はい、と私の手に150円を置くとまたジュースを回して行ってしまった。
気づけば11時。
ちょっとお腹も空いてきたころ。
よし!
後1時間頑張ったらいろんなところまわろう!
それまで我慢!
…ってそういえば私、まわる人決まってないんだっけ。
真緒ちゃん…いけるかな?