いつだって、ヒーロー。


「こーれ!これちょうだい!」


元気な男子がお菓子を指差す。


「50円です」


お金を受け取ってお菓子を渡す。

さっきから思ってたけど…


「つーちゃん、大盛況だね!」


けっこう人集りもできてるし、いい感じかもっ!


どんどんお菓子も飲み物も売れてる。


「いらっしゃいませ〜!」


自然と大きい声も出ちゃうくらい。


「わ、きみ可愛いね!」


突然男の人2人が話しかけてきた。
んー…と、チラッと上靴の色を見ると3年生の色。


「あ…えと…」


「午後から一緒にまわらない?」


えっ!!
こ、こんな、知らない人とっ…!!

私の頭の中はぐちゃぐちゃ。
こんなこと言われたの初めてだし、年上だしなんて言えばいいの…⁉︎


「この子、うちの看板娘なんですよー!可愛いですよね?でも渡せないですよ〜」


そう元気に言ったのは隣にいるつーちゃんだった。


「いーじゃん?午後からはどうせ暇だろ?貸してよ、この子」


「この子もうまわる人いるんですよ!モテモテなんでね!羨ましいです」


「なーんだ。残念。じゃあこれとこれだけど買うよ」


先輩たちはチョコとグミを手にとって、つーちゃんにお金を渡すとサッサと消えて行った。


「つーちゃん…ありがと…」


「なーんてことないよ!泉は可愛いんだから注意しときなよ?」


パアッと笑顔なつーちゃん。
私、可愛くないよ?

でも、ありがとうね。


「永倉相変わらずモテてんな〜」


財布をクルクル回しながら来たのは浜野くん。

そういえば浜野くんはお昼からここの店番だっけ。


「違うもん…。モテてなんかないもん」


「鈍感かよ。1年の時から思ってたけど鈍いよな〜」


「にっ…!」


鈍いって何よ〜っ!

私鈍くない!


「ま、そこがいいのかもな〜。…あいつも。店員さん、これちょーだい」


財布を持つ手と反対の手で売り物の炭酸ジュースをクルクルっと回す。


「150円だよ」


はい、と私の手に150円を置くとまたジュースを回して行ってしまった。

気づけば11時。
ちょっとお腹も空いてきたころ。

よし!
後1時間頑張ったらいろんなところまわろう!
それまで我慢!

…ってそういえば私、まわる人決まってないんだっけ。
真緒ちゃん…いけるかな?



< 76 / 346 >

この作品をシェア

pagetop