いつだって、ヒーロー。






「これ」






「えっ…」


思わずそんな声が出た。

だって私の目の前に現れたのは…
青くんだから。



『行く』



いつかのあの言葉を思い出す。

だって浜野くんはいないよ?
浜野くんはお昼からなんだもん。

じゃあなんで…?


「これとこれ、買う」


青くんの言葉に我に返る。
そ、そうだ、青くんはお客さんなんだ。


「に……200円………です!」


「………はい」


ニコッと笑ってお金を私の手に乗せる。

私の目は泳ぎまくり。
ダメダメダメ。しっかりするんだ、私。


あーもーバカ。
何やってるんだろ私。
別に何もないのに。

お客さんなのに。


「………お昼」


「へ…?」


青くんのポツリと呟いた言葉はちゃんと私の耳に届いていた。

楽しい声の中、その小さな声はちゃんと聞こえた。







「俺とまわろう」







俺と……まわろう……………?


さっきよりもハッキリと目を見てそう言った。
それがどんな意味なのかこんがらがった頭でも理解できた。


まわるっていうのは一緒に隣で歩いて、ゲームをしたり喫茶店や出店に行ったり体育館のステージを見に行ったりっていうことだよね…?


それを私と…?
でも浜野くんは?

なんで私なの?
私は…青くんを振ったんだよ…?

そんな私と、青くんの中では『元カノ』の私と、まわろうって思ってるの?


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